2025年5月初旬、島根県・隠岐諸島のクラフトビール事情を探るため、現地を訪れました。今回は喫茶ゆらぎ(島後)のオリジナルビール「ふくぎビール」をご紹介します。
- その① 隠岐の島Brewing飯美(島後):小さな集落で進む醸造所建設
- その② 京見屋分店(島後):おきのしましまビールの販売元を訪ねて
- その③ 喫茶ゆらぎ(島後):クロモジを使ったふくぎビールで乾杯! ←今回
- その④ 島のめぐみ麦酒(島前/海士町):次世代を見据えた海洋熟成ビール計画
西郷港から徒歩1分の離島ビールスポット
前回記事の流れで、京見屋分店の谷田さんに車で西郷港まで送っていただきました。

おかげさまで、妻子が待つ島前・中ノ島(海士町)へと戻るためのジェットフォイルの乗船券販売締切に間に合いました。ほっと一安心です。

乗船開始までには、まだ10分ほど時間があります。さきほど谷田さんが、港の近くの「喫茶ゆらぎ」にもオリジナルビールがあるという情報を教えてくれたので、ちょっと寄ってみることにしました。
港の建物を出ると、道路を挟んで正面に「賑わいづくり喫茶 ゆらぎ」はありました。徒歩1分かかりません!

隠岐でしか飲めない「ふくぎビール」とは?
1階が喫茶店、2階はホテルになっているようです。「ORIGINAL CRAFT BEER」ののぼりが立ってますね!

店内は明るく開放的で、美味しそうなカレーやサンドウィッチを食べているお客さんの姿も。今回はビールをテイクアウトだけでしたが、次に島後へ来たときは、2階に泊まり、1階でゆったり飲み食いしたいところです。
さて、こちらが「ふくぎビール(NOCHI NI YURAGU)」です!ここでしか買えないオリジナルビールとのこと。

隠岐諸島の島後に自生するふくぎ(クロモジ)を使用した、ハーブが効いたベルジャンホワイトだそうです。

急いで港に戻り、乗船列に並びながら乾杯!
ふくぎ(クロモジ)の爽やかな香りに、山椒やコリアンダーシードが組み合わさっていい感じ!美味しいです!

クロモジといえば、高級爪楊枝の素材として知られる香木。頭がすっきりとするような爽やかな香りが特徴で、高ぶった神経を鎮める作用もあるとされます。養命酒にも配合されている、日本古来のハーブです。

隠岐では、クロモジのことを「ふくぎ(福木)」と呼び、その枝葉をお茶(ふくぎ茶)にして、古くから親しんできたそうです。飲み終えた時の爽快でスーッとする風味が特徴の和製ハーブティです。
ラベルデザインは「お酒を呑んだのちに、酔いでせかいがゆらぐことを表現」したそう。Alc.4.5%と軽めのビールですが、程よくゆらいで良い気分になってきました。

船を乗り継いで、島後から島前へ
ジェットフォイルは、あっという間に西ノ島・別府港に到着。
この便は、中ノ島(海士町)を経由しないため、ここで船を乗り継ぎます。

5分後、島前の島々を結ぶ内航船「いそかぜ」が颯爽と入港。

島前の島々に囲まれたこの海域は、日本海でありながらとても穏やかです。
その理由は、火山活動にありました。巨大な火山が陥没してできたカルデラに水が流れ込み、今の海となったのです。島前の3島は、その外輪山にあたります。

気の遠くなるような時間の積み重ねと、圧倒的な自然のダイナミズムを感じつつ、中ノ島(海士町)の菱浦港に無事到着。

以上で、隠岐のクラフトビール最前線レポートの島後編は終了です。
最終回では、中ノ島(海士町)で進む「海洋熟成ビール計画」に迫ります。どうぞお楽しみに!



