伊豆大島(東京都・伊豆諸島)に2024年にオープンしたクラフトビール醸造所「Habuminatö Brewëry(波浮港醸造)」に飲みに行ってきました!(現地訪問日:2026年2月)
これから全4回に分けて現地での体験をレポートしていきます。今回は、現地に着くまでの道のりをダイジェストでお届けします。
大都会・東京を離れ、もう一つの東京へ。
2026年2月26日(木)21時。東京・浜松町。

撮影地は、浜松町駅前の近未来的なペデストリアンデッキ。駅へ戻る竹芝のオフィスワーカーたちの波に逆らい、ひとり竹芝方面へ歩いていきます。

浜松町駅から徒歩10分。竹芝客船ターミナルに到着。伊豆諸島の各島をむすぶ船が発着する一大拠点です。

今回のルートはこちら。竹芝(A)から22時発の夜行船に乗り、翌朝6時に伊豆大島北端の岡田港(B)に到着。そこから路線バスに乗り換え、島の南端にあるHabuminatö Brewëry(C)を目指します。
伊豆大島行きは平常運航ながら、他島は欠航や条件付き運航。冬の太平洋は波が高く、こうした欠航も日常茶飯事です。東京都の島とはいえ、伊豆諸島は吹きさらしの外洋に浮かぶ絶海の孤島群なのだと気付かされます。

22時前。いざ、伊豆大島へ向かう「さるびあ丸」に乗船。

木曜日の夜。山積みの仕事を放り出し、島旅へ。出航直前までの焦燥感は、遠ざかる東京の夜景を眺めているうちに、「もうどうしようもない」という諦めにも似た解放感へと変わっていきます。日常を物理的に引き剥がすこのプロセスは、僕にとって大切なリセットの「儀式」です。

この儀式は、船内の食堂で生ビール(サッポロ黒ラベル)を流し込むことで完成します。遠ざかる東京を眺めながらの一杯――これ以上の贅沢はありません。

儀式を終えたら、明日に備えて寝るだけ。おやすみなさい。

伊豆大島の北端から南端へバス移動
翌朝5時過ぎ。少し早起きして甲板へ。漆黒の海が広がっていましたが、やがて東の水平線がゆっくりと色づいてきました。

明るくなるにつれ、伊豆大島の島影がはっきりと浮かび上がってきます。

朝6時。予定どおり伊豆大島・岡田港に到着。(7年ぶり5回目の上陸)

波浮港行きのバスがあったので、それに乗ることにしました。

観光客の大半は元町港行きバスに吸い込まれていき、波浮港行きの乗客は僕のほかに2名だけ。どちらも島民のおばあちゃんでした。

約40分、ほぼノンストップで走り続け、島の反対側にある波浮港に到着しました。

早朝の波浮港をぶらり
時刻はまだ7時前。当然ながら、この時間に開いている商店はありません。

波浮港は、伊豆大島の中でもノスタルジックな風情が残る漁港です。最近は古い建物をリノベーションした宿や飲食店が増え、注目を集めているエリアでもあります。今回は朝早すぎてご紹介できませんが、下記ページを参考にすれば、素敵な旅程を組めると思います。

さて、朝早くてもできることといえば散策。この階段を上ってみようと思います。

普段ならスルーしてしまう道端の石碑も、今日は時間があります。立ち止まりながら、ゆっくりと読み進めていきます。

波浮港は、もともと淡水湖だったそうです。それが江戸時代中期の元禄大地震の津波によって海とつながり、その後の大規模な港拡張工事を経て、1800年頃に開港しました。明治時代以降、遠洋漁業の中継地として大いににぎわい、最盛期には「銀座より地価が高かった」という伝説まで残っています。

昭和25年の記録写真を見ると一目瞭然。とんでもない賑わいだったことが分かります。

かつての賑わいこそありませんが、水面の穏やかさは、開港の頃から変わらぬ光景なのでしょう。荒々しい太平洋のただ中で、この穏やかな港が果たしてきた役割の大きさに思いを馳せると、胸がいっぱいになります。

戦争の遺跡「鉄砲場」にて
そんな波浮港の階段を上りきった先に、今回の本命、Habuminatö Brewëryの建物があります。

まだ朝早いので開店前。もう少し散策を続けて、時間をつぶすことにします。

気の向くまま歩いていると、「鉄砲場」という物騒な名前の場所を見つけました。

大海原と伊豆諸島の島々が一望できる、気持ちの良い高台です。かつては、江戸時代後期には、異国船の来航に備え、大砲や鉄砲を配備した軍事拠点として使われていました。

また、大東亜戦争(第二次世界大戦)時には陸軍の監視所が設置され、敵機の飛来を本土へいち早く通報するための拠点だったそうです。当時の防空壕が、いまも残されています。

いまは、絶海の孤島でもビールという嗜好品を作ることができ、そのビールを気軽な週末旅で飲みに来られる時代になりました。
「離島ビール」はまさに、豊かさと平和の象徴です。
これが決して当たり前ではないことを胸に刻みながら、いつまでも「離島ビール」が楽しめる世界であり続けてほしい――そう願わずにはいられません。

さて、次回はいよいよHabuminatö Brewëryを訪問します。お楽しみに!

