ビールを求めて広島湾を行く!②【宮島ブルワリー ― 厳島神社の目の前の醸造所に潜入!】

前回記事の江田島ワークス(広島県・江田島)を取材したあと、お隣の厳島(通称「宮島」)にある宮島ブルワリー(MIYAJIMA BREWERY)にも“はしご”離島ビールをしてきました。言わずと知れた観光名所の宮島ですが、この記事ではビールを軸とした宮島の楽しみ方をご紹介します!(現地訪問日:2025年9月)

広島港で船を乗り継ぎ、宮島へ

朝9時。江田島・中町港に向かっています。
昨日は丸見えだった牡蠣棚が、今日はすっかり海に沈んでいました。瀬戸内海の干満差には驚かされます。

さて、本日は宮島に向かいます。江田島と宮島は隣同士の離島ですが、直行ルートはないため、広島港で船を乗り継ぎます。

まずは行きと同じ船に乗って約30分。広島港(宇品旅客ターミナル)へ戻ります。

広島港に到着した時点で、宮島行き高速船の出航が10分後に迫っていました。切符を買うため、ターミナル内の窓口まで急いで往復します。江田島便と宮島便はどちらも同じ桟橋から発着しますが、切符売り場はターミナル内にあるのです。

宮島行きの高速船が颯爽と入港してきました。

再び船に乗ること約30分。宮島が見えてきました!

7年ぶり2度目の宮島上陸です!

別格の離島、宮島に上陸!

相変わらず宮島は別格の賑わいです。離島ってレベルじゃない!

観光客に混じって鹿が街なかを歩く光景も、宮島ではおなじみの風景です。(野生のため餌やりは禁止)

海沿いの道を進むと、右手に見える赤い建物が有名な大鳥居。今回の目的地・宮島ブルワリーは、その少し手前にあります。一本道なので迷うことはなさそうですが、念のため離島ブルワリーコンパスで方角を確認しながら進みます。

無事、宮島ブルワリーに到着!ガラス越しにタンクが見えます!

建物はスタイリッシュで、隣にはスターバックス。さすがは宮島、別格です。

建物の反対側は宮島表参道商店街に面しており、多くの人で賑わっています。こちらが正面ですね。

開放的なビアスタンドは、観光の合間にふらりと立ち寄れる雰囲気です。

タップリスト(ビールの種類)も充実。早く飲みたい!

醸造所内にカメラが潜入!

ビアスタンドの奥には、ガラス越しに大きなタンクが見えています。ここが醸造所のようです。

今回は事前にお願いして、特別に醸造所内を見学させていただきました。お忙しいところすみません。お邪魔します!

※醸造所内は厳しく衛生管理がなされており、通常は内部の見学を受け付けていません。今回は特別に、事前レクチャーを受けた上で取材を許可いただきました。

左を振り向くと、発酵タンクと熟成タンクがずらり!

その隣の部屋には、麦汁を作るタンクが並んでいました。海沿いの道から窓越しに見えていたタンクたちです。

こちらは醸造長の新谷 凉代(しんたに りょうた)さん。限定醸造ビール「HOPPY PILSNER(ホッピーピルスナー)」の仕込み作業の真っ最中とのこと。熱い湯気がタンクから立ち上っています。

右のタンクで麦芽を糖化(マッシング)させ、麦汁を作ります。それをパイプライン経由で中央のタンクへ移送しているところでした。

ホップ投入前のできたて麦汁を味見させていただきました。ピルスナーモルト(焙燥が浅めの麦芽)なので、すっきりとした優しい甘みと、麦の香ばしさが感じられます。これは美味しいビールになりそう!

麦汁の糖度を測り、丹念に記録する新谷さんの姿は真剣そのもの。

こうして麦汁をつくったら、次にホップを投入していきます。「HOPPY PILSNER」では、アメリカ産の「カスケード」という品種のホップを使い、香りと苦みをつけるそうです。

新谷さんが、ペレットホップ(ホップを収穫後すぐに乾燥させ、粉砕・圧縮したもの)を冷蔵庫から取り出して見せてくれました。カスケードは、アメリカンスタイルらしい爽やかな香りが特徴のホップです。

ホップを煮出す温度や時間によって、ビールの香りや苦み、泡持ちの良さなどが大きく変わります。温度計を睨みながら、投入の瞬間を見極める新谷さんの姿が印象的でした。

無事にホップの投入作業を終え、ひと段落した新谷さんにインタビューさせていただきました。

新谷さんが宮島ブルワリーで働き始めたのは2018年10月。出身は広島市郊外ですが、祖母の家が宮島にあったことから、「自分も宮島に住んで、地域が盛り上がるような面白いことをやりたい」という想いが芽生えたそうです。その思いをきっかけに宮島ブルワリー(MIYAJIMA BEER 株式会社)に入社し、ビールづくりを一から学びました。新谷さんの説明は明快で、積み重ねてきた学びと経験の確かさが伝わってきます。昨年からは醸造長として、この醸造所の運営を担っているそうです。

宮島の最繁忙期は紅葉シーズンの11月。沢山の観光客に美味しいビールを届けるため、いまから仕込みに大忙しの新谷醸造長。その背中はかっこいい職人そのものでした。

宮島のビールを支えるクラフトマンに、心から敬意を表して記念撮影!お忙しい中、本当にありがとうございました!

立地最強!唯一無二の「大鳥居ビュー」!

醸造所見学の後は、ビアスタンドにて待望の乾杯タイムです。

お忙しい中、新谷さんが自ら注いでくれました!嬉しい!

はるばる船を乗り継ぎ、作り手のお話を聞いたうえで飲むビールは、体と心に染みわたります。これこそ、離島ビールの醍醐味です!

左は、先ほど仕込みを見学したのと同じ銘柄「HOPPY PILSNER」。中央は、島内の珈琲店「宮島珈琲」のコーヒー豆を漬け込んだブラウンエール「Drip DEER!?」。右は、広島をイメージした鮮やかな赤い色と柑橘やベリーの香りが特徴の「BEST WISHES」。

3種類とも美味しかったですが、特にHOPPY PILSNERが好み。思わずお代わりして、今度は海沿いの道に腰掛けて飲みました。この場所で飲むビールの美味さたるや…反則級…!

ビアスタンドと海と大鳥居の位置関係は、ぜひリール動画でご覧ください。この立地、最強すぎます!

厳島神社、だけじゃない宮島のすごさ

ビールを飲んだ後は、大鳥居で妻子と合流しました。ビール取材で燃え尽きたため、この後の観光はノープランです。

厳島神社をはじめ見どころ満載の宮島ですが、僕としては、離島としての「素顔」が気になります。この島の大半は山に覆われ、自然豊かな離島なのです。

3Dで見た厳島(通称「宮島」)の全体像。(Google Earthより)

文化的建造物も素晴らしいのですが、やはり山が気になって仕方ありません。

あまり乗り気じゃない妻子を引き連れて、山に登るロープウェーを目指したのですが、道半ばで土砂降りに…。離島の天気は変わりやすいことを忘れていました。残念ですが、山はまた次の機会にします。

子連れ+ノープラン+雨天+父親は酒気帯び。一般的な離島だったら詰んでしまう状況ですが、宮島はやはり別格でした。宮島水族館という頼もしい施設があるのです。

トドの餌やりショーや、ペンギンとのふれあい体験など、想像以上に充実!雨天時のプランBがある離島、宮島。さすがです。

雨上がりの宮島。どこをどう切り取っても絵になります。

帰りは大型フェリーを利用しました。平日は15分間隔、土日は10分間隔という異次元のダイヤなので、乗り遅れの心配もありません。

わずか10分で本土側の宮島口へ到着。振り返ると、荘厳な宮島の島影が見えました。「次こそはあの山に登るぞ!」という決意を表明して、今回の離島ビール旅を締めくくりたいと思います。

今回も最高の離島ビール旅となりました。取材を快く受け入れてくださった関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。皆さんもぜひ、現地へ飲みに行ってみてください!