全5回シリーズでお送りする、宮古島マイクロブルワリーさんでの至福の離島ビール体験。
第3回目は、工房内の様子や開業秘話などをご紹介します!
※これまでの記事はこちら→第1回、第2回
工房内を見学させていただきました!
宮古島マイクロブルワリーの店内からは、窓ガラス越しに工房内のタンクを見ることができます。
今回は特別に、工房内を見学させていただくことができました!
これは完成したビールを瓶詰めする装置です。
今日は10周年のおめでたい日。関係者の方が続々とお祝いに訪れてきます。
島内・島外問わず、多くの人々に愛され、支えられてきたお店だということが伝わってきます。
(注:醸造所内は厳しく衛生管理がなされており、通常は内部の見学を受け付けていません。今回は特別に、事前レクチャーを受けた上で取材を許可いただきました。)
工房に入って、まず目を引くのは5つのタンク!
左端が主発酵タンク、中央の3つが貯酒(熟成用)タンク、右端は瓶詰め時に使用する圧力タンクだそうです。ピカピカに磨かれていて迫力がありますね!
こちらは麦汁を作る煮沸釜です。
これらの設備は、10年前(2010年)の開業当初から使用しているそうです。
2010年当時、離島でビアパブを併設した小規模醸造所というジャンルはまだ存在しませんでした。全国離島びーる年表を見れば、このお店がいかに先駆者だったかが分かります。
離島ビールどころか、国内のクラフトビール市場自体がまだ下火だった時代。そんな時代に離島に移住し、これだけの設備を構えて起業するのは、ものすごく勇気のいる決断だったはずです。
そんな大将に敬意を表し、ここからはフルネームでご紹介させていただきます。
大将(オーナー)の高橋正規さんが、宮古島でビールを作り始めたきっかけとは??
この記事を最後まで読めば、その秘密が明らかになります!
ビールとの出会い
宮古島マイクロブルワリーのカウンター席に座ると、ずらりと並んだビール瓶の数々が目に入ります。好みの銘柄やご縁のあった銘柄の空き瓶を飾っているのです。
イギリスの老舗、バス・ブリュワリーの「バス ペールエール」を飲んでビールに目覚めたという高橋正規さん。年季の入った空き瓶が大切に飾られていました。
そして、ひときわ目立つ中央下段に鎮座しているのは、麦雑穀工房マイクロブルワリー(埼玉県)のビール瓶。このお店の師匠にあたるブルワリーです。
ビールの世界にすっかりハマってしまった高橋正規さんは、会社勤めの傍ら、埼玉県の麦雑穀工房に押しかけてビール作りを教えてもらったそうです。
宮古島との出会い
宮古島との出会いは、妻の美起さんと一緒に旅行で訪れたときのことでした。2人とも宮古島が好きになり、いつかは移住したいと思うようになったそうです。
その「いつか」が現実になったのは、正規さんが46歳のときでした。
石灰質の隆起サンゴでろ過された宮古島の地下水は、イギリスのバス・ブルワリー発祥の地で採れる水と同じ硬水だから、美味しいペールエールが作れるかもしれない、と師匠に言われ、正規さんの中でビールと宮古島が結びついたのです。
そこからは移住&開業に向けて猪突猛進の日々。離島でマイクロブルワリーを開業した前例がない中、困難だらけの道のりでした。宮古島の税務署に免許申請の相談に行くも、最初は全く相手にされませんでしたが、2年と3ヵ月かけ粘りに粘って、ついに2010年8月10日、発泡酒製造免許(※)が下りたのです。
※写真は当時のブログからお借りしました。
※2010年当時、日本の酒税法上の「ビール」の定義が狭く、世界的にはビールと呼ばれるビアスタイルでも分類上は「発泡酒」となってしまうものが多くありました。宮古島マイクロブルワリーの場合は麦芽もたっぷり使っており、一般的な節税型発泡酒とは全く異なります。
※ビールよりも発泡酒の方が製造免許取得の要件となる最低製造数量が少ないため、小規模なブルワリーは発泡酒免許で開業する場合が多いです。実際、その後に誕生する離島ブルワリーの多くも発泡酒免許での開業でした。(あくまで酒税法上の定義の問題なので、その美味しさや品質はビールと変わりません。)
※ビールよりも発泡酒の方が製造免許取得の要件となる最低製造数量が少ないため、小規模なブルワリーは発泡酒免許で開業する場合が多いです。実際、その後に誕生する離島ブルワリーの多くも発泡酒免許での開業でした。(あくまで酒税法上の定義の問題なので、その美味しさや品質はビールと変わりません。)
※2018年4月の酒税法改正で「ビール」の定義が変わり、宮古島マイクロブルワリーのラインナップの多くは、名実ともに「ビール」として扱われるようになりました。(改正以前に発泡酒免許を取得していた場合は特例として、改正後にビール扱い(改正前は発泡酒扱い)となるレシピでの製造が可能です。)
それから10年が経ち、当時の思い出を飄々と語る正規さんからは、離島ビール界のレジェンドとしての風格が漂っていました。
多くのファンに愛された10年
ある関係者の方は「初めは仕事としてお付き合いを始めたけれど、オーナー夫妻の人柄に触れて、すっかりファンになってしまいました。」と話していました。
僕もすっかりファンになってしまいました!(^^)
本当に夢のようなひと時でした。
宮古島マイクロブルワリーの営業日や営業時間は状況により変わるので、訪問前に必ず公式ホームページを確認してください。(当面は完全予約制)
コロナに関係なく、基本的に夜はやっていません。明るいうちにビールを味わって、深酔いする前に切り上げるのがおすすめスタイルです。飲み足りない、食べ足りない方は近所の居酒屋へハシゴしましょう!(^^)
次回予告!
次回は、宮古島マイクロブルワリーのビールの美味しさの秘密である「サンゴの水」に迫ります。美しい海だけじゃない、宮古島の知られざる重要スポットをご紹介します。お楽しみに!