全5回シリーズでお送りする、宮古島マイクロブルワリーさんでの至福の離島ビール体験。

第4回目は、美味しさの秘密である「サンゴの水」に迫ります!(訪問日:2020年10月24、25日)

※これまでの記事はこちら→第1回第2回第3回

 

 

 

「サンゴの水」の秘密に迫る!
宮古島マイクロブルワリーでは、ビールの仕込水に「サンゴの水」を使用しているそうです。
「サンゴの水」っていったいどういうこと?と思いますよね。
今回は、その疑問の答えを探すために、島内の2つの場所を訪れました。

 
 
宮古島の雪塩®の美味しさの秘密も「サンゴ」?

一つ目の場所は、島の北端にある「雪塩ミュージアム」です。粉雪のようにサラサラな塩でおなじみ「宮古島の雪塩®」の製塩所併設のショップ兼ミュージアムです。

 
お土産の定番「雪塩ちんすこう」は、宮古島の雪塩を使用しています。
他にもバラエティ豊かなお土産が売られていました。雪塩ソフトクリームも美味しかったです!
 
ミュージアムなので、塩の製法についての展示や各種体験ができるコーナーもあります。
 
さて、今回ご注目いただきたいのはこちら。宮古島の大地の断面図です。
宮古島は50~20万年前の地殻変動によって珊瑚礁が隆起してできた島。その珊瑚礁が変化してできた「琉球石灰岩」が島の土台となっています。
琉球石灰岩は多くの気孔を含んでいて、大量の水を浸透させる性質があるため、宮古島の地下には海から浸透して出来た「地下海水」と、雨が浸透して出来た「地下淡水」が流れています。
この琉球石灰岩の影響で、宮古島の地下水はカルシウムを多く含み、硬水に分類されています。
(雪塩ミュージアム 展示パネルより引用)
 
宮古島の雪塩®は、この「地下海水」を汲み上げて使用しているそうです。サンゴのミネラルが溶け出した地下海水を使用しているから、美味しい塩が出来るんですね!
 
 
世界初&世界一!宮古島の「地下ダム」とは!?

さて、場所は変わりまして、宮古島の南東エリアにある地下ダム資料館にやってきました。

 

地下ダム???聞き慣れない施設で、謎めいていますね。

 
先ほども説明したとおり、宮古島の大地は透水性の高い琉球石灰岩でできているため、降った雨は地下深くに染み込み、そのまま海へ流れ出てしまいます。そのため、宮古島には地表を流れる河川がなく、昔から水不足に悩まされてきました。
 
井戸を掘れば人々が飲む飲料水を確保することは可能なのですが、大量の農業用水を安定的に確保することは井戸だけでは難しかったようです。なぜなら、上流(内陸部)では地下水の水位が低くて十分に取水できないし、下流(海岸部)では海水が混ざってしまうから。海水の浸透は、雪塩を作るには好都合ですが、淡水の確保という点では宮古島の悩みの種だったという訳ですね。
 
そこで造られたのが地下ダムです。地中にコンクリート製の壁を設置し、そこで地下水をせき止めつつポンプでくみ上げることで、淡水を効率的に取水することができるのです。
(写真は、水位水質監視施設付近の立て看板より)
 

地下ダムは、通常の地表ダムに比べて以下のようなメリットがあります。

  • 地表の水没が無く、地表面はいままでどおり使える。
  • 貯めた水が蒸発しにくい。
  • アオコなどが発生しにくく衛生的
  • 決壊災害の心配が無く安全

など

 

地下ダムについては、以下のページでも分かりやすく解説されています↓

 

資料館内部は撮影禁止だったので写真はないのですが、非常に分かりやすく充実の展示内容でした。実用化された大規模な地下ダムとしては世界初であり、また、その規模も世界一とのことです。宮古島ならではの場所なので、皆さんもぜひ訪れてみてください。
 
 
地下ダムを地表で見れる施設
資料館から歩いてすぐのところに、地下ダムの一部を地表で見ることのできる施設があります。
 
ここは、地下ダムの水位・流量・水質などを観測するための施設です。
 
写真右側(上流)から、左側に向けて地下水が絶え間なく流れ落ちています。
 
通常は見えない地下水の状況を、この施設で目視確認できます。安全&安定運用のために大切なことです。
 
サンゴの大地でろ過された地下水なので透明度は抜群!
 
あくまで、ここで見えている部分は地下ダムの一部に過ぎません。
宮古島南東部の城辺(ぐすくべ)地区の地下には、広大な地下水源が広がっています。
 
地下ダムにより安定的に農業用水が確保できるようになったおかげで、サトウキビ栽培では干ばつの心配がなくなり、マンゴーやパッションフルーツなど付加価値の高い果実栽培も盛んになってきました。現在の宮古島の繁栄は、この地下ダムのおかげといっても過言ではないのです。
 
 
まとめ&次回予告

宮古島のサンゴの大地がもたらした恵みと悩み。

その悩みを見事に克服し、新たな恵みへと変えた先人の英知と努力。

心からの敬意と、感動を覚えました。


あらためて、宮古島マイクロブルワリーの「パッションフルーツエール」を飲んでみたくなりました。こうした背景を知った上で飲んだら、感動もひとしおでしょうね!

 

さて、次回はいよいよ最終回!

宮古島から橋で渡れる島々をドライブします!

離島成分たっぷりでお送りしますので、お楽しみに!(^^)

 

<ご注意>

新型コロナウィルスを取り巻く情勢は常に変化しています。
現地に飲みに行く場合は、各自治体HPの新型コロナ関連情報を確認の上、
店舗にも事前確認することをお勧めします。
(宮古島マイクロブルワリーの場合、当面は完全予約制です。) 
また、万全の体調管理と感染対策の励行をお願いします。

 

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